濡れた状態の髪にブリーチをすることは、一見問題なさそうに思えるかもしれません。しかし実際には、髪へのダメージや色ムラの原因となるリスクが非常に高く、注意が必要です。本記事では、トラブルを避けて理想のカラーを手に入れるための知識とケア方法を解説します。
ブリーチを濡れた髪の毛にすることによるトラブルとリスク

濡れた髪にブリーチ剤を使うと、薬剤の作用が不安定になりやすいというのが最大の問題です。髪に残った水分が薬剤の濃度を薄めたり、部分的に薬剤が流れやすくなったりすることで、以下のようなトラブルが発生しやすくなります。
- 色ムラが起こる:ブリーチ剤の効き方が均一でなくなり、明るさに差が出る
- ダメージが悪化する:濡れた髪はキューティクルが開いており、ブリーチ剤の刺激をより強く受けてしまう
- 想定外の仕上がりになる:脱色の進み具合がコントロールできず、理想の色味に届かない
また、髪が濡れているとブリーチ剤が髪に密着しづらくなり、ムラのある発色になりやすいのもデメリットです。
ブリーチ前にやってはいけないことをチェック
ブリーチ前には絶対に避けるべき行動がいくつか存在します。これらを無視してしまうと、せっかくのカラーが思ったように入らなかったり、髪の毛が取り返しのつかないほど傷んでしまう恐れもあるため、注意が必要です。
- 髪を濡れたまま放置してブリーチを始めてしまう
- 市販のスタイリング剤(特にシリコン入り)を洗い流さずに施術する
- 頭皮が炎症を起こしていたり、赤みやかゆみがある状態で強引にブリーチする
- パーマ施術直後にブリーチを重ねる
- 髪の毛がゴワついたり傷みが進行しているにも関わらず処置せずブリーチする
これらの行動はすべて、髪の内部構造を壊してしまう原因となります。たとえば、スタイリング剤の残留は薬剤の浸透を妨げてムラになりやすく、パーマ後のブリーチは髪のたんぱく質をさらに壊して枝毛や断毛の原因になります。
また、頭皮のトラブルを無視して施術すると、薬剤が浸透して激しいかゆみや痛み、最悪の場合にはかぶれを引き起こすこともあります。安全に美しい発色を得るためにも、ブリーチ前の状態チェックは必須の工程と考えましょう。
ブリーチ前に髪を洗うべきか?プロの視点
「ブリーチの前に髪は洗うべきか?」という疑問はよく寄せられる質問です。美容師としての結論から言うと、ブリーチの前日は軽くシャンプーをしておくのが理想的です。ただし、当日に洗ってしまうと、頭皮を保護するために必要な皮脂が失われ、薬剤の刺激が直接伝わってしまいます。
頭皮が乾燥して敏感になっていると、ヒリヒリとした痛みや赤みを引き起こすこともあるため、できれば前日夜にシャンプーを済ませておきましょう。その際は洗浄力の強すぎないマイルドなシャンプーを使用し、整髪料や皮脂を適度に落とした清潔な状態をキープするのがベストです。
また、洗髪後は必ず髪をしっかり乾かすことも忘れずに。湿った状態でブリーチすると、薬剤が薄まりやすく、仕上がりにムラが出てしまうリスクがあります。「乾いた清潔な髪」で施術することがブリーチ成功の第一歩だと心得ておきましょう。
2回目のブリーチでも流さない方が良いケース
ブリーチを2回行う場合、「1回目のあとに流すべきか、それともすぐ2回目を重ねても問題ないのか?」と悩む方が非常に多くいます。この疑問はプロの美容師の間でも意見が分かれるテーマであり、施術の目的や髪の状態によって適切な判断が求められます。
基本的には以下のような判断基準があります:
- 1回目のブリーチが軽度で、髪にほとんど変化が出ていない場合 → 薬剤の反応が弱く、さらに色を抜きたいなら流さずにすぐ2回目を行うこともある。ただし、これは美容師が毛髪の状態をしっかり見極めた上で判断する必要があります。
- すでに十分に脱色されている、または1回目で頭皮に強い刺激や赤みが出ている場合 → 一度しっかり洗い流し、髪と頭皮を乾かしてから再度ブリーチをするのが安全。
さらに、1回目のブリーチ剤が髪に残ったまま2回目を重ねる場合には、薬剤の反応が過剰になる可能性があるため、薬剤の選定や塗布時間にも細心の注意が必要です。
とくにセルフブリーチでこの方法をとるのはかなりのリスクを伴うため、初心者は必ず「一度洗って乾かす」方法を採用する方が無難です。見た目ではわからない細かなダメージが、2回目で一気に表面化することもあるため、慎重な判断が求められます。
ブリーチを2回する前に髪を乾かすべき理由

髪の状態をしっかり整えることは、2回目のブリーチを成功させるために非常に重要です。髪をしっかり乾かすことで以下のような利点があります:
- 濡れているとキューティクルが開いた状態が続くため、薬剤の刺激を強く受けやすくなり、内部構造が破壊されやすい。
- 水分が髪に残っていると、ブリーチ剤の濃度が不均一になり、効果にムラが出るリスクが高まる。
- 髪表面に水滴が残っていると薬剤をはじきやすく、塗布の均一性が失われてしまう。
- 濡れた髪はもろく、2回目の施術に耐えきれず切れ毛や断毛の原因になることも。
これらの理由から、プロの現場では「ブリーチ剤は必ず完全に乾いた髪に使用する」ことが鉄則とされています。乾かす際はドライヤーを使って、根元から毛先までしっかり乾かし、表面だけでなく内部まで乾いているか確認するのがポイントです。
自宅で施術する場合も、焦らず時間をかけて髪を完全に乾かしてから作業を行いましょう。こうした一手間が、美しく安全なブリーチを実現するための鍵になります。
ホームブリーチとサロンブリーチの違いと失敗回避ポイント
自宅でのセルフブリーチはコストが抑えられる反面、リスク管理が難しいのが実情です。一方、サロンでは以下のような利点があります。
- 色ムラや傷みのリスクをプロの技術で回避できる
- 複雑な工程も計算された手順で進行
- 使用する薬剤の品質や濃度が安定している
とはいえ、ホームブリーチでも失敗を減らすポイントはあります。
- 手順を守り、事前にしっかり乾かす
- 薬剤の量を均等に塗布する
- 無理な2回ブリーチは避けるか、時間を空ける
正しい準備と工程管理ができれば、自宅でもある程度のクオリティは可能です。ただし、難しい色味やハイリスクな施術はプロに任せるのが無難でしょう。
ブリーチから髪の毛を守る正しい準備とアフターケア
濡れた髪にブリーチをするとトラブルになりやすいことはわかりました。では、どうすれば安全に、かつ美しく仕上げられるのでしょうか。ここでは、事前準備と施術後のケアについて詳しく解説します。
ブリーチ前の正しい髪の状態とは?

ブリーチ前の髪の状態は、仕上がりを大きく左右する非常に重要な要素です。適切な状態で施術に臨むことで、ムラなく色を抜くことができ、ダメージも最小限に抑えることができます。以下のような状態が理想的とされています。
- 髪が完全に乾いている:湿気を含んだ髪は薬剤の反応が不均一になり、ムラの原因になります。
- 整髪料や皮脂が過剰に残っていない:油分があるとブリーチ剤が弾かれ、均等に浸透しづらくなります。
- 頭皮に炎症や傷がない:健康な頭皮でないと、ブリーチ時の刺激でかぶれや痛みが発生するリスクがあります。
- 前日までにシャンプーを済ませている:皮脂による頭皮保護と、表面の汚れや整髪料除去のバランスが取れている状態がベストです。
特に乾燥状態は最重要です。髪が濡れていたり、湿っているだけでも薬剤の効果にばらつきが出てしまい、発色や脱色に大きな差が出てしまいます。サロンでも「完全に乾いた髪」で施術するのが常識であり、自宅でブリーチを行う際も必ず守りたいポイントです。
自宅での乾燥方法のポイント
自宅で髪を乾かす際は、単に水分を飛ばすだけではなく、「ムラなくしっかりと全体を乾燥させる」ことが肝心です。以下の手順と注意点を意識して乾かしましょう。
- タオルドライのあとドライヤーでしっかり乾かす:根元の水分が残りやすいので、地肌に風を当てながら全体に乾かす。
- 地肌から毛先まで均一に乾燥させる:乾かしムラがあると、薬剤の浸透に差が出て色ムラの原因に。
- 熱を当てすぎて髪がパサつかないよう中温~低温で仕上げる:特にダメージが気になる方は、最後に冷風で仕上げるのもおすすめ。
- 乾燥途中で手ぐしや粗めのコームを使いながら髪を広げて風を当てると、内側までしっかり乾きます。
また、髪が長い方や量が多い方は特に注意が必要です。内側に湿り気が残ったままブリーチをすると、表面と中で色の抜け具合に差が出て、仕上がりにムラが出やすくなります。
特に毛先は水分が残りやすい上に、ブリーチによるダメージが最も出やすい部分です。毛先の乾燥が甘いと、発色ムラや深刻なダメージの原因になります。毛先まで丁寧に乾かすことを意識しましょう。
自宅での準備とはいえ、この乾燥の工程を怠るとその後の仕上がりに大きく響いてきます。プロ並みのブリーチを目指すなら、「乾かし方」こそが第一歩なのです。
アフターブリーチのケアで差をつける

ブリーチ後の髪はとてもデリケートで、乾燥しやすく、外的ダメージに対しても無防備な状態になっています。色素も安定していないため、ちょっとした洗浄や熱、紫外線でも色落ちや質感の低下が起こります。そこで、ブリーチ後のケアを徹底することが美髪の鍵になります。
以下のようなケア方法を取り入れることで、色持ちと質感をキープしやすくなります:
- カラー用トリートメントを使う:ブリーチ後は髪の内部構造が壊れやすくなっているため、補修効果のあるカラー専用トリートメントが有効です。色素補充タイプを使うことで色落ちも軽減できます。
- 洗浄力の強すぎないシャンプーを選ぶ:アミノ酸系やノンシリコンの低刺激シャンプーを使用することで、髪と頭皮への負担を最小限に抑えられます。
- 週1回は集中補修用マスクやヘアパックを使用:日常のケアでは補いきれないダメージを修復するために、週1回のスペシャルケアを取り入れましょう。ヒートキャップと併用すると浸透力がアップします。
- 日中は紫外線対策スプレーなども効果的:紫外線は色素を分解しやすく、パサつきの原因にもなります。外出前にUVスプレーを軽くかけるだけでも髪のダメージを抑えることができます。
- ヘアオイルやアウトバストリートメントでの保湿:ドライヤー前後に使うことで、乾燥を防ぎながらツヤ感をキープできます。
- 就寝時はナイトキャップやシルク枕カバーで摩擦を軽減:寝返りによる物理的なダメージも意外と多いので、枕との摩擦対策も忘れずに。
色持ちと手触りをキープするには保湿と補修が鍵です。日々のケアの積み重ねが、美しいブリーチカラーを長く楽しむ秘訣になります。
ブリーチの間隔と次回への備え
1回のブリーチだけでは希望する明るさにならないことも多く、複数回に分けて行うケースは一般的です。ただし、連続してブリーチを行うと深刻なダメージにつながるため、十分な回復期間を設けることが必須です。
以下のポイントを意識しましょう:
- 2回目のブリーチは最低でも1週間空ける:髪や頭皮の再生には時間がかかります。できれば2週間ほど空けるとより安全です。
- その間は高保湿ケアで髪を整える:シャンプー・トリートメントに加え、ヘアオイルや集中補修マスクを積極的に活用しましょう。
- 刺激や熱スタイリングは最小限に抑える:アイロン・コテなどの使用頻度を減らし、使用時は必ずヒートプロテクト剤を併用すること。
- 髪の状態を定期的にチェックする:触ったときの質感やツヤの有無、指通りの変化などを意識して、状態を見極めながら次回のタイミングを判断しましょう。
- 健康的な食生活と睡眠:髪は体の内側から作られるため、栄養バランスや睡眠もケアの一環として意識しましょう。
急いでトーンアップを目指す気持ちは分かりますが、無理をすると色どころか髪そのものを失うリスクもあります。「髪の健康は時間とケアの積み重ねで守る」という意識を忘れずに。
ブリーチ初心者がやりがちなNG習慣

ブリーチ初心者がよく陥りがちなミスは、些細なことの積み重ねです。以下のような行動をしてしまうと、美しいカラーを保つどころか、髪を深く傷める原因になります。
- 半乾きのまま施術を開始してしまう:薬剤の反応にムラが出やすく、仕上がりに差が出てしまいます。
- 色が抜けないからといってすぐ2回目を重ねる:インターバルを設けずに連続ブリーチをすると、髪の芯まで破壊されることがあります。
- アフターケアを軽視してしまう:洗い流さないトリートメントを使わなかったり、紫外線や熱のダメージ対策を怠るなど、ケア不足が原因で色落ちやパサつきを招きます。
- 使用する製品にこだわらない:市販の安価な薬剤やケア用品では補修力が不十分なことも。信頼できる成分やブランドを選ぶことが大切です。
- 施術前後の状態を記録しない:ビフォーアフターの記録がないと、どの工程で失敗したのか判断しにくくなります。
すべて髪の健康と発色に影響する重要な要素です。基本を丁寧に押さえるだけでも失敗率は大幅に減らせます。初心者こそ慎重に、計画的にブリーチを行うことが成功への近道です。
ブリーチを濡れた髪の毛にかけるのはNG?色ムラ・ダメージを防ぐ完全対策ガイドまとめ
濡れた髪にブリーチを行うのは、美容師でさえ慎重になるほどリスクの高い行為です。色ムラや深刻なダメージを避けるためには、「乾いた髪に」「丁寧に準備して」「慎重に進める」ことが鉄則です。失敗しないためにも、この記事で紹介したポイントをぜひ参考にしてください。
総評
- 濡れた髪にブリーチはムラ・ダメージの元
- ブリーチ前は前日夜に洗髪+完全乾燥が理想
- 2回ブリーチの際は「流す→乾かす→再ブリーチ」が基本
- アフターケアには保湿系トリートメントが効果的
- 時間に余裕をもって、髪をいたわる施術を心がけよう